保育園で過ごす子どもたち
昨日までは元気だったのに、突然「先生、かゆい」と発疹が出てくることがあります
「これって蕁麻疹?」「アレルギーかな?」「それとも感染症?」
その園児にとって初めての症状であれば、看護師として観察するポイントが多くなりますよね
今回は、園で初めて蕁麻疹が出た園児へのアセスメントから、保護者への伝え方、受診後の対応まで、看護師としての判断をリアルなエピソードとともにご紹介します
登園時の様子
園児の小さなサインを見逃さないことが第一歩です
園児は元気に走って遊んでいましたが、急に私のところに寄ってきて足を見せました

先生見て〜かゆいの
足を見ると、赤い膨隆疹(蚊に刺されたあとのようにぷっくり盛り上がった発疹)が数個あり、発疹が繋がってきているものもあります
蕁麻疹のように見えます
担任の先生に確認します

Tくん、蕁麻疹のような発疹ができてます
両足、両腕、腹部にも出てきているようです
今までに蕁麻疹ができたことがあるって保護者から聞いていますか?
これまでもできたことないですか?

蕁麻疹は今まで、聞いたことないですね
アレルギーの報告もないし、これまでも出たことないです
看護師としてのアセスメント
熱もなく、機嫌も悪くはないのですが、この園児にとって初めての膨隆疹で、蕁麻疹を疑いました
ただ、蕁麻疹で一番怖いのは喉の腫れによる窒息です
まずは「命に関わる症状(呼吸)」がないか、全身を素早くチェックします
アレルギーの既往はないです
感染の心配はあまりないのかもしれませんが、とりあえず、別室に園児を移動させました
観察した症状は以下のとおりです
・赤い膨隆疹が両方の足関節あたりでできている
・膨隆疹は数個集まって出ているが、連鎖している部分もある
・腹部、背部、手関節辺りにも、薄い発疹が出てきている

・息苦しさを訴えるような呼吸器症状はなく、呼吸も正常
・痒みがある
・熱はない
・機嫌は悪くない
・アレルギーの既往は無い
1箇所だけなら虫刺されの可能性もありますが、腹部や背部にも広がっていたため、全身症状(アレルギーや感染症)を疑いました
「(心の中で:呼吸は大丈夫そう、でも、どんどん広がっているな・・よし、まずは園長に相談だ!)」

これまでアレルギーの報告もなく、Tくんも保育園で初めての発疹なので、保護者に連絡して、自宅でこれまでにこのような症状がでたことはないか、確認してみましょう
担任の先生、園長先生に相談し、保護者へ連絡することになりました
保護者への連絡と引き渡し
園での「初めての症状」は、保護者にとっても大きな不安材料です
看護師の私から保護者へ連絡することになりました

お母さん、Tくんの足にぷっくりした発疹が出ていて、「かゆい」と教えてくれました
発疹が膨隆疹で、蕁麻疹のように見えるのですが、これまで蕁麻疹とか出たことありますか?
「蕁麻疹」と伝えるか一瞬迷いましたが、まずは事実を伝え、これまで「蕁麻疹が出たことがあるか?」「アレルギーの心配はないか?」を保護者に確認することが先決だと思いお伝えしました
初めての経験で、アレルギーの可能性と感染症の鑑別のため受診を提案することにしました

わかりました
初めての症状なんですね
発疹なので感染するものでないかも病院で診てもらえたらと思います
これから受診してもらうことは可能ですか?
お迎え可能とのことです。
たくさん走って、身体の火照りから痒みも増していましたので、少し冷たいお水を飲んでもらいながら、保護者の到着を待ちました
お迎え時に再度、保護者へ確認します
実際に発疹の部位を見せると、保護者はびっくりしています

広がってきてる部分がありますよね?
蕁麻疹のようなんですが、これまでアレルギー症状などなかったと、担任の先生からも聞いています
昨日から今朝にかけていつもと違うものを食べたなどはありませんか?
発疹ですので、感染症などであれば園でのお預かりが難しいので、一度受診していただきたくてご連絡しました
また診察の結果をご連絡いただけますか?
保護者へは
・膨隆疹ができている部分を一緒に確認
・これまでにこのような症状がなかったかを確認
・昨日から今朝にかけての食事内容について
などを聞きました
病院受診をして、問題なければ登園できるのでまた診察結果を教えていただけるようにお伝えしました
その後の経過
翌日、園児は元気に登園してきました
でもまだ少し、発疹を認めます
保護者からは感染の心配はないことと、軟膏と痒み止めの薬が出た、と報告がありました
アレルギー検査はまでは、まだしていないとのこと
三月は園の行事も多く、疲れもあるかもしれません

週末はゆっくり休んでもらうといいかも
と、お迎えの時に、担任の先生の方から伝えてもらいました
週明けはすっかり発疹もおさまっていました
落ち着いた頃に保護者とお話しする機会がありました
「蕁麻疹落ち着いて良かったですね」とお伝えすると

はい、なんだったんでしょうね?
疲れとかでも出るんですか?

そうですね、疲れとか便秘とかでも出ることもあると思います。
でも、繰り返すときは、かかりつけの小児科の先生に相談されてくださいね
とお伝えしました
今回の対応のポイント
①緊急性の判断
まずは呼吸や機嫌を確認
②発疹の場所と形状をメモ
写真が撮れるとベストですね
③「初めて」の症状
「初めて」の場合は、迷わず受診を勧める
今回はアレルギーを疑って、保護者への引き渡しを行いましたが、その時に昨日の夕食後から朝食までに初めての食材を食べなかったか?などを確認しました
園では、園児にとって初めての食材は提供しない決まりになっています
また、保護者との会話の中に、受診時に病院へ伝えて欲しいことも入れて伝える工夫をしています
保育園看護師として感じたこと
今回は園児の方から、痒みと赤い膨隆疹を訴えてくれました
以前に私が担当したお話し会で、「先生は看護師さんです」って伝えていたからかもしれないですね
今回はアレルギーかどうかの判断までは至ってません。
保護者への対応として、繰り返すときは小児科医に相談することで、アレルギー検査も検討されると思いますので、私の口からアレルギー検査については私からはお伝えしませんでした
その理由として、アレルギーかもという言葉は、保護者にとって非常に重い響きです
確定診断が出ていない段階で、不安を煽るのではなく、まずは「体調の変化を共有するパートナー」として立ち位置を大事にしました
保育園看護師は、診断はできません
けれど、保護者と一緒に「あれ?おかしいな」と見つけ、適切な医療に繋げる『架け橋』になれる存在でありたいと思っています
